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The Winking Owl「Supernova」リリースインタビュー

 

 

The Winking Owlって、またえらく個性的な名前のバンドが出てきたなー。

というのが、彼らのことを初めて知ったときの感想。

 

それから暫く経った後、CD-Rでリリースされたデモに収録されたThrough the Glassを何気なく耳にしたとき、とんでもないポテンシャルを秘めたバンドが出てきたな・・・と、衝撃を受けたことも未だに覚えている。

 

あれから早数年。

 

2011年に「Deep River」をリリースし、翌年にはSECONDWALLとのスプリットをリリース、そのまだ翌年にはアコースティックアルバム「Voyage」がリリースされ、着実にシーンに名前を広めてきた彼ら。

 

しかし、いかんせんアーティスティックなバンドとしてのイメージが先行し、バンドマンをはじめとした業界内での評価は高かったものの、マス・マーケットに向けてのアピールがイマイチ弱かったのも、この頃の彼らの特徴と言えば特徴。

似た思いは、メンバー自身も感じていたようで、バンドとしてネクスト・ステップに到達するため、今回はfadeのrui氏をプロデューサーとして招いてレコーディングを敢行。完成したのが9月にリリースされたばかりのミニアルバム「Supernova」だ。

これまでの彼らとは明らかに異なる世界観を披露する、強烈な内容に仕上がった本作は、アルバムの冒頭のStarsから締めのPreciousまで、一点の曇りも無い完璧なサウンドが詰め込まれている。

 

リリース初週には、オリコンインディーランキング20位に食い込み、その後もコンスタントに売れ続け、ジワジワと上昇気流に乗りつつあるThe Winking Owl。中心人物であるギタリストのYomaに、今回のアルバムについて等、色々な側面から質問をしてみた。

 

 

取材・文 / 関口仁士

 

 

──まずは初インタビューになるけど、今日は宜しくお願いします。

 

・よろしくお願いします!

 

 

──活動の拠点が群馬県高崎市だけど、群馬県外の人にとっては、どういった音楽シーンが盛んなのか分からない人が多いと思います。HER NAME IN BLOODやDEAD HORSE PAINT辺りがシーンでは有名なバンドなのかな?って思うけど、それ以外にどういうバンドがいるのか・・・等を教えてもらえれば。注目すべきバンドがいたら教えてください。

 

・ そうですね、HER NAME IN BLOODは前進バンドの時から仲良くて、当時はお互い高校生でしたね。そのころはメタルとかミクスチャーっぽいバンドが多かったですね。Garimpeiroのバンドとか好きな人にとっては群馬と言えばHER NAME IN BLOODとかって印象強いかと思いますが、群馬はけっこう歌ものロックバンドが多いですね。back numberやLacco Towerなどのすごい先輩バンドも群馬ですし。

 

あとは先月GUNMA ROCK FESTIVALっていうでかいフェスを開催したG-FREAK FACTORYは、ジャンルの枠を超えた大先輩です!(The Winking Owlも前夜祭に出演しました)!女性ボーカルバンドシーンももっと盛り上げていきたいですね!

 

 

僕はそもそもポストハードコアをやりたいとは思ったことはないですね。

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──The Winking Owlの音楽性って、初期のデモ~「DEEP RIVER」期が特にそうだけど、海外のポストハードコアスタイル直系で、日本国内には、こういうスタイルの音楽をやってるバンドが他にはなかなか見当たらなかったけど、そもそも結成時から音楽的なコンセプトはしっかりと固まっていたの?メンバーを集めるのもけっこう苦労したのでは?

 

・ まずこのバンドを結成したきっかけですが、元々僕はアメリカで音楽活動をしていたんですが、ビザとかの問題もあり帰国することになり、日本に帰ったらすぐバンド始動をしようと思い、アメリカにいたときからメンバー探しをしていました。

 

で、アメリカでやってたバンドも女性ボーカルで、そのバンドでの音楽性をThe Winking Owlでも引き継いでる感じですね。

 

音楽性に関してですが、僕はそもそもポストハードコアをやりたいとは思ったことはないですね (笑)女性ボーカルのポップなものがやりたいって思ってました。ただ当時聴いていたのは、やはりエモやポストハードコアだったのでその影響が作る曲にもモロに出たんだと思います。

 

メンバー集めは苦労しました、最初からいたメンバーはもう僕しかいないんですけど、今のメンバーに落ち着いたのでこのメンバーで続けていきたいです!

 

 

──ルイザ加入前のオリジナルのヴォーカリストも女性だったけど、「女性ヴォーカリスト」バンドであることへの拘りが強いんですか?女性ヴォーカルのバンドといったら、海外ならPARAMORE、TONIGHT ALIVE、WE ARE THE IN CROWD、VERSAEMERGE、国内だったらTHIS MORNING DAY、SECONDWALL、UNLIMITS、YOUR LAST DIARY等がいるけど、シンパシーを感じたり、目標だったり、ライバル心を感じたりするバンドはいますか?

 

・ アメリカでやっていたバンドが女性ボーカルだったので、日本でやるバンドも音楽性がその延長線上で、自然に女性ボーカルになりました。当時やっていた曲、やろうとしてた曲も今のThe Winking Owlでやっていたりします。

 

もう一つ女性ボーカルバンドをやりたいって思った理由ですが、日本人のボーカリストで、自分がやりたい音楽性に合いそうなボーカリストは男性より女性のほうが多いって思いました。なので女性ボーカルを探すほうが、自分の理想に近づけるかなって思ってました。女性ボーカルのJPOPも好きですし。海外のバンドだとParamore, VersaEmergeはすごく好きですね。

 

逆に日本に帰国するまで、日本の女性ボーカルシーンはぜんぜん知らなかったです。SECONDWALLはあるきっかけで知り合い、帰国してすぐライブを見に行ってからずっと仲良くしてもらってます。今は同じGarimpeiroファミリーですし(笑)

もちろんライバル心がないわけではないですが、SECONDWALLをはじめとして、今後はみんなで協力して、日本の女性ボーカルバンドシーンをもっと作っていきたいです!

 

 

──The Winking Owlって、ハードコア、メタルコア、スクリーモ等といったラウド系から、エモ、インディーロック、ギターロック系まで、ジャンル関係なしにバラエティに富んだバンドと共演してきたけど、そういうバックグラウンドって、曲作りの段階で影響を受けたりすることってある?

 

・特に意識はしてませんが、どんなジャンルであれ、かっこいいと思ったバンドには影響を受けていると思います。

 

確かに僕らはほんと共演するバンドの幅が広いですよね(笑)すごく近いジャンルのバンドもいないっていうのもあるんですが。ラウド系は個人的に友達も多いので、対バンする機会が多かったです。でも今後はさらにいろんなジャンルのバンドさんと一緒にやっていきたいです!

 

 

──今回リリースされた新作「Supernova」は、今までのThe Winking Owlサウンドから、さらにネクストレベルに到達した、バンド史上最高にキャッチーな作品に仕上がったと思います。作曲は基本YOMA君が行ってると思うけど、今回の楽曲のクォリティの高さは、プロデューサーのruiさんのチカラも大きいと思います。今までは完全DIYで音源を作ってきたと思うけど、今回プロデューサーをつけた理由だったり、経緯を教えてください。ミニアルバム全体として、どんな青写真を描いていましたか?

 

・前回アコースティックミニアルバムをリリースして、次どうしようかって悩んでた時に、ruiさんと知り合いました。ruiさんと話してみたら「この人とやれば絶対いい作品ができそう」と思ったので、プロデュースをお願いしました。ruiさんはfadeの曲も全部書いていて、他にもいろんな有名なアーティストに楽曲提供していて、ruiさんの作る曲もすごい好きでしたし。

 

アレンジなど、僕に足りないものを持っているというか、一緒に作業していて「この曲がこうなるのかー」とか「こういう感じにしたかったんだよ」ってのがたくさんありました(笑)すごくいい経験になりました!

 

 

──PVにもなった、最もキャッチーかつエレクトロ感もある「Stars」、以前からのThe Winking Owl節が感じられる「Break It Out」や「Orion」、90年後半~00年代初頭のエモ、個人的にはonsa辺りに通じる雰囲気を感じた「When Rainy Days Are Gone」等、とにかくバラエティに富んだ作風だけど、それぞれどういった思いが込められた曲か教えてください。

 

・僕は作曲を担当してるので、作曲者、ギタリスト的な観点からになってしまいますが、1曲づつ紹介していくと、まず、、、

 

Starsは一番最後に作った曲ですね、だいたいアルバムのコンセプトは決まって来たときに、もう一つ洋楽的なキャッチーな曲がほしいなということになり、作りました。テンポも今までの僕らの曲にはあまりなかったですね。

 

Break It Outは疾走感があり、サビもキャッチーで、お客さんも一緒に歌えるような曲です。サビのBreak It Outって部分は、ぜひお客さんにもみんなで歌ってもらいたです!

 

When Rainy Days Are Goneは、実はこれはかなり昔、僕がまだ高校生の時に作った曲なんですよ。エモとか聴きはじめた頃で、そういう音楽にかなり影響受けてたと思います。なので関口さん世代の方が気に入ってくれるのも納得です(笑)タイトルは当時から僕がつけてたんですが、ちょっと切ない雰囲気をルイザも上手く歌詞で表現してくれたと思います!

 

Change Your Destinyは、僕らの曲の中で一番速くて勢いのある曲です。ギターソロもロックしてるし、ぜひギターキッズにコピーしてもらいたいです!

 

Orionは疾走感があって、サビはすごくポップでキャッチー、自然とか夜空をイメージして作った曲です。

 

フリージアは、元々バンド用でない形で作ってた曲なんだけど、ruiさんに聴かせたらやろうってことになった曲です、The Winking Owl史上一番ポップです!ちょっと切ない女子っぽい曲で、今までになかった雰囲気だけど、個人的にもすごく気に入ってます。

 

最後のPreciousは、前から僕らを知ってる人にはおなじみの曲だと思います。初のPVにもなった思い出の曲です。Aメロの複雑なギターリフとキャッチーなサビが気に入ってます!

 

 

自分が本当にやりたかったのは、今回のスタイルなような気もします。

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──以前のThe Winking Owlって、良い意味でも、悪い意味でも玄人好み、バンドマン受けが凄く良いってスタイルの曲調が持ち味だったと思うけど、今作は圧倒的にマス・マーケットに向けた要素が詰め込まれています。バンドとしての葛藤であったり、ためらいだったりはありましたか?

 

・他のメンバーは、最初はプロデューサーつけてどうなるんだろう・・・みたいな不安も少しはあったみたいだけど、僕は制作の前からいろいろruiさんとも話してたので、まったく不安は無かったですね。

 

むしろ自分が本当にやりたかったのは、今回のスタイルなような気もします(笑)僕はギターに関しては、けっこう複雑でテクニカルなものが好きなんですが、歌はポップでキャッチーなものが大好きなんですよ。今までも自分的にはかなりキャッチーにしてたつもりなんですが、一般のリスナーからするとちょっと複雑だったみたいで(笑)

 

なので、ruiさんが僕らの行きたい方向性を引き出してくれたと思いますね。とにかく葛藤やためらいは全くなかったです!

 

 

──それぞれの曲の中に色々な要素が入っているし、相当にテクニカルだけど、変に難解じゃないし、わかりやすくて、ダイレクトな楽曲の魅力で勝負に出ている印象で。これまでのThe Winking Owlとはある意味真逆な感じで、かなりチャレンジングな作品だったと思うけど、聴きどころとして推したい箇所があったら教えてください。

 

・今回の作品は7曲それぞれ違った表情があると思いますし、自分たちらしさを出しながらも似たような曲が1曲もないってところがすごく満足しています。

 

作曲で一番重視したところは歌メロです。ほとんどの曲は歌メロから作りました。どの曲もキャッチーで馴染みやすいメロディーが入ってるのでぜひ聴いて一緒に歌ってもらいです。楽曲も「シンプルでキャッチーに」ってとこにはこだわりました。その中にも自分らしいコード進行や、ギターワークを入れられたと思います!ギターやってる人にはそういうとこも聴いてもらいたいですね。

 

あとは今回サウンドプロダクションも素晴らしいのでクリアで迫力のあるサウンドも楽しんでほしいです!

 

 

──全7曲入りの音源の内、2曲(Orionとフリージア)は、SECONDWALLの由佳ちゃんが歌詞を書いてくれていて、ルイザが書く歌詞とは当然世界観や言葉のニュアンスが違っているけども、他の曲と比べるとこれらの2曲はバンドとしてどうでしょう?少し「特別な曲」感はあるんですか?

 

・由佳ちゃんが書く歌詞は、ルイザとはまた違う世界観があるけど、やっぱりルイザが歌えばThe Winking Owlになるし、僕は特別な曲とかは全く意識せず他の曲と同じように演奏してます。

 

 

──小難しいジャンル分け関係なしに、純粋なロック作として凄く秀逸な内容に仕上がりました。これだけ良い作品が完成したってことで、今までよりもバラエティに富んだリスナーにアピールできる作品だけど、どういった層にもっと露出していきたい・・・等といった思惑はありますか?

 

・今回はどの曲もキャッチーなメロディがあって、どんな人でも聴きやすい曲が揃ってると思います。なのでJPOPしか聴かないようなリスナーにもぜひ聴いてもらいたいです。「フリージア」はもうJPOPですね(笑)

 

あとは今までよりもライブのことも意識して、ノリやすかったり、みんなで楽しめるような曲も多いので、ライブで騒ぐのが好きなキッズにもぜひ聴いてもらいたいです。本当に幅広い層にアピールできる作品だと思うので、とにかく今まで僕らを聴いたことがないたくさんの人に届いてほしいです!

 

 

──これからのツアーで、また新しいリスナーの開拓が楽しみなところですが、今後の抱負をお願いします!

 

・今回は僕らにとって初めてと言える、しっかりした全国ツアーを組んだので、各地でいろんな経験して、もっとライブバンドとしても成長できるよう頑張っていきたいです!今発表してる日程以外にも、さらに追加していく予定なので、決まり次第、随時ウェブサイトなどにアップしていきます。ぜひ僕らのライブを体感してほしいです!

 

まだ発表されてないですが、ツアーファイナルは気合い入れて、今までやってないことをやるつもりなので楽しみにしててください!

 

 

──それでは、今日は長々とありがとうございました!

Supernova

GR-36 / September 24th 2014 / ¥1,800

1. Stars

2. Break It Out

3. When Rainy Days Are Gone

4. Change Your Destiny

5. Orion

6. フリージア

7. Precious

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The Winking Owl Garimpeiro Records
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