FEAR FROM THE HATE
「RETURNERS」リリースインタビュー vol.2
2014年12月3日、約2年ぶりの新譜「RETURNERS」をリリースしたFEAR FROM THE HATE。「Birthday of 12 Questions」以来、数年ぶりにベーシストHiroを迎えて製作された音源だ。「Birthday of 12 Questions」が放った要素を軸に、「1961」をリリースしたことで会得したニュアンスをブレンドした音源に仕上がった今作。多くの人が持つFEAR FROM THE HATEのイメージにピッタリ合致する作品に仕上がった。
昨年11月に公開したインタビュー第一弾は、「Birthday of 12 Questions」リリースツアー以降に発生したメンバーの脱退劇〜Hiro再加入までについてをメインとしたものだったが、今回は「RETURNERS」のセルフライナーと、今後の活動について答えてもらった。
取材・文 / 関口仁士
──今回収録されている楽曲、それぞれについて軽くセルフライナーというか、コメントをお願いします!
1. ~The First Cry~
Lidy : このオープニングとエンディングの~The Last Word~のオケが出来上がってきて、最初に聴いたとき、今回は「人」をテーマにしたアルバムにしようと思いました。人それぞれの一生、すなわち「誕生〜死」までの流れを表したコンセプトアルバムにしようと。
この~The First Cry~ はその名の通り、人生の始まりを表す「産声」です。
Kouichi : アルバムの幕開けになるインスト曲。新しい物語が始まるイメージを込めて作りました。FFTHは色々な音楽の表現者でありたいというメッセージを示したかったので、アウトロにかけて曲の流れがどんどん変わって行き、様々な楽器が畳み掛けてくるアレンジにしました。
Hiro : この~The First Cry~は、FEAR FROM THE HATEのライブのSEとしても使用しているんですが、実は音源バージョンとライブバージョンでは尺や展開が違ったりしてるんです。音源聴いてライブに来て、その違いを見つけてみるのも面白いかと思います。
(以下 L : Lidy、K : Kouichi、H : Hiro)
2. MEBIUS
L : 亡くなった大切な親友に向けて歌った曲。たとえ死に別れても、人は土に還り、雲になり、雨になる。この星とともにずっと生き続ける。
「春は花になって〜会いに行くから」の歌詞の下りの部分は、僕が死んでも、きっと形を変えて何かの一部になって、いつでもあなたのそばにいるよという意味合いが込められています。
メビウスの輪のように光が当たる時もあれば、影に入らなければならない時もあるけど、そうやって全ての生命は繰り返されてきた。親友にはもう伝えられないけど、思い出と共に一緒に生き続け、他の生命へ伝えていくという曲です。
K : 映画のように、ストーリー性のある楽曲を作りたくて生まれた曲。静と動、激しさと優しさの中で、生命の儚さを表現できたかなと思います。“死”というすごくシリアスな内容の曲だけど、後ろ向きにはならないよう、サウンドはあくまでアッパーでキャッチーになるよう心がけました。
H : ベースラインに関しては、ボトムを支えつつもスクリーモ、ポストハードコアっぽくないラインにしました。展開も目まぐるしく、ドラマティックな楽曲なのでその展開を生かすようなフレーズを随所に詰め込みました。ブレイクダウンやベースソロでは、今作からディストーションのエフェクトを使ってみたので、そういったサウンドアプローチにも注目して聴いてもらえれば嬉しいです。
3. Silverwalker
K : この曲を作ったとき、ポストハードコアなリフ、ブレイクダウンなどの要素の曲を作るのが久しぶりだったので、「自分はやっぱりこういう曲作るのが好きなんだな」と思いながら作りました ね(笑)。バンド史上最も好きな曲の一つになりました。個人的に1stアルバムの頃の空気感を持った曲だなと思います。
L : ずっと働き育ててくれた両親に向けた曲。感謝と尊敬の念を込めて。
あなたたちが歩んできたその道はきっと誰かの道標となり、輝き照らしてくれている。将来への不安や厳しい現実に落ち込んでいる時、そういう両親の姿を見て、自分で自分を奮い立たせ歩いていかなきゃという決意の曲でもあります。
H : 既存曲の再録ですが、ベースラインはシングルバージョンから色々と変えてます。
サークル、ツーステップ、シンガロング等、ポストハードコアの良さを随所に詰め込んだのでかなりライブ映えする楽曲だと思います。
ライブのセットリストでも鉄板となってる楽曲なので、しっかり聴き込んでライブに遊びに来てください。
4. KingBoy&QueenGirl
L : 元気が欲しい時に聴いて欲しい曲。
日常生活で溜まったやり場の無い怒りやストレスをこの曲で発散して欲しい。
ふとした言葉や行動が、時に前向きになれるように、たとえカラ元気だとしても振舞っていれば本当に元気になる時がある。
何者にも邪魔されないフロアでたまには王様のような気分になって踊ろうよ。そんな前向きな曲。
K : 今までにない曲を作ろうと思って生まれたダンスナンバー。ダブステップやベースミュージックなどの攻撃的なエレクトロサウンドを前面に出せるよう、音作りもかなりこだわりました。ライブでやっていてもすごく楽しいですね。
H : ありそうでなかったグルービーで縦ノリなダンスチューン。
シンセベースが常になってる楽曲なのでベースの音の住み分けをかなり試行錯誤しました。シンガロングもかなり多用してますので、リリックを覚えて是非一緒に歌いましょう。
ちなみに、過去最多のシンガロング量だったので、レコーディングの時は声が枯れるかと思いました(笑)。
5. Alice
L : アリスのようにいつまでも好奇心を忘れないでと歌った曲。
大人になっていくと、時に穿った偏見や思い込みでフィルターをかけ、純粋に物事を見えなくしてしまうけど、そうする事で、ひょっとしたら自分でも驚くような素敵な世界を見逃しているかもしれない。
それはありきたりな音楽ばかりを追いかける人達への皮肉が隠されてたりもします。
そして落ち込んだ時にこそ、新しい何かを掴めたり、大切な存在に気付けたりする。そこから這い上がれるきっかけならいつでもそこら辺に転がっているんだよ、それに気付いて欲しいという曲です。
K : ディズニーとポストハードコアの世界観が融合したような曲。まず、Aliceというタイトルを決めて、その世界観を表現できるよう曲作りを進めました。アウトロの流れは自分で聴いていてもじんわり来ますね(笑)。不思議な世界観だけど、心に響く優しさも持ったすごく大好きな曲です。
H : まさにFEAR FROM THE HATEにしか表現出来ない世界観の楽曲だと思います。
アウトロのフレージングは世界観を崩さずに生かせるように試行錯誤しました。ベースアルペジオを用いたり新しい試みもあったり。
シャウトも所々再録しましたので、シングルバージョンとは違うコーラスにも注目してもらえれば嬉しいです。
6. ~The Last Word~
K : この作品のテーマは「再出発」ですが、裏テーマでは「泣ける」作品にしたいという思 いもあって。物語のラストを飾る泣けるインストにしたいと思って作りました。アルバムのインスト2曲は所謂和メロを取り入れていて、その辺りも新しい要素だと思いますね。
L : エンディングを飾る「遺言」を表したインストです。
この「RETURNERS」を聴いて、少しでも生きる希望や力になってくれれば嬉しいです。
H : 完全にヒーリングソングですね。
寝つきが悪い時はこの曲リピートすれば眠りにつけると思います。
7. Human vs Creature
K : Hiro作のバンドの初期の曲。すごく思い出深いし、今でもライブでやってる曲なので、あえて原型ないほどモダンにアップデートしてやろうということで。Hiroと一緒にかなりやりたい放題にアレンジしました(笑)。昔のバージョンと聴き比べてもらえると面白いと思うし、バンドの成長を感じてもらえるかなと思います。
L : 初期のFFTHの曲のリテイクということで、ボーカルもオートチューンを外して、より生っぽくしています。
いつでも敵は自分の中にあるという事を歌っています。
H : 1st EP「Cursed Screamers For All The Frozen Tears」に収録されてた曲の再録です。自分作曲なのでやはり思い入れがありますね。
ポストハードコアや所謂「今っぽい」サウンドにがっつりアレンジしなおしました。昔の音源を持ってる方は聴き比べてみるのも面白いかと思います。
シャウトもがっつり録り直したので是非チェックしてみて下さい。
──Hiro君が復帰したとはいえ、正式メンバーは、現状Lidy君、Kouichi君、Hiro君の3人で、ギタリストとドラマーは、サポートメンバーを迎えての活動という状況が続いているわけだけど、この2ポジションに正式メンバーを迎えての活動も視野に入ってる?それとも暫くはサポートメンバーを迎えての活動を続けていく予定ですか?
L : 個人的にはこれだと思う人がいれば正式メンバーとして一緒にやっていきたいと思っているので、我こそはと言う人はどんどん連絡して来て下さい。
H :どしどし応募してきて下さい!待ってます!
──リリース後の年明けには、FFTH主催企画が3ヵ月連続で開催されるなど、来年からは解き放たれたかのように、活動が一気に活発になっていきそうだけど、現時点で見えている今後のスケジュールを教えてください。
L : まだ発表出来ないけれど、楽しめる仕掛けをたくさん用意しているので期待していて下さい。
H :モスラでも発表された通り、4月からライブ会場限定シングルがリリースされます!
このシングルというのはただのシングルではなく、実は面白いコンセプトのシングルなので是非ライブに遊びに来てシングルもゲットして欲しいです!
夏以降も年末まで既に音源やライブ、イベントの予定が決定しておりますので、それぞれのアナウンスを見逃さないように、オフィシャルサイトやSNS等チェックしていて下さい!